1.熱き血汐~与謝野晶子「みだれ髪」他詩集より~
作詞:土田有紀
作曲:弦哲也
雪より白い やわ肌の
けもののような 血が哀し
百日ぶりの 嬉しさに
書物(ほん)をかさねて 恋まくら
やがては崩れる 書斎(へや)のすみ
すがるま昼の みだれ髪
今さら道徳(みち)を 説かれても
両手で耳を ふさぎます
誰かにあなた 迷うなら
毒をからめた 蜜をぬり
くちびる合わせて 添寝する
ついて行きたい どこまでも
見送る肩に 散る花の
夜風にはらり 名残り紅
罪の子抱いた はたち妻
惜しむ別れを 枝折戸(しおりど)が
ふたりとひとりを 切り離す
心もつれる みだれ髪
2.忍び里
作詞:土田有紀
作曲:弦哲也
奪って下さい 好きならば
逢えば冬でも 蝶になる
肩で息して 雪の中
日暮れ嵯峨野路 忍び里
ニの字みだれる ニの字みだれる
下駄のあと…
ほんのりうすべに 手鏡の
女みじかい 春を知る
明日がなくても 悔いはない
待てば焦がれる 忍び里
外は静かな 外は静かな
ぼたん雪…
信じるだけの 恋だけど
夜に抱かれて 華になり
朝の吐息に 散り急ぐ
帰る裏木戸 忍び里
夢の名残りか 夢の名残りか
今朝の雪…
3.想い出グラス
作詞:土田有紀
作曲:弦哲也
コートの衿に 涙かくして
ネオンの海に よろければ
想い出グラスの 止まり木は
氷のすき間に あなたが浮かぶ
頬杖つかなきゃ 崩れそう
つのる思いの 忍び雨
私のようね 壁のすみ絵は
春でも咲かぬ 冬ざくら
想い出グラスの 面影に
どうにもならない さだめがにくい
飲ませて酔わせて ねむるまで
外は哀しい 泣きしぐれ
セーター肩に かけて見たけど
心のさむさ かわらない
想い出グラスの 止まり木は
飲むほど淋しい 夜明けは遠い
ないものねだりを 叱るよな
窓につめたい 夜の雨
4.春待ち花
作詞:土田有紀
作曲:弦哲也
冬が過ぎれば 春は来る
早く来い来い 春よ来い
苦労の涙よ 春待ち花と咲け
喧嘩するのも 好きだから許されゆるし
あなただけお前だけ 二人信じて春を待つ
花よ咲け花よ咲け 明日はきっと咲け
雪の重さも 冷たさも
あなた居たから 耐えられた
かわいた都会(まち)にも 春待ち花は咲く
スミレタンポポ 踏まれても頑張る命
あなただけお前だけ 二人信じて春を待つ
花よ咲け花よ咲け 明日はきっと咲け
支え合うのが 人ならば
かばい合うのが 夫婦です
つらさを越えれば 春待ち花の夢
照る日曇る日 いつまでも離しはしない
あなただけお前だけ 二人信じて春を待つ
花よ咲け花よ咲け 明日はきっと咲け
5.冬のれん
作詞:仁井谷俊也
作曲:幸斉たけし
真面目に生きれば しんどいこの世
女のわたしも わかります
熱燗一本 つけますか-
せめて今夜は お酒に酔って
苦労の荷物は忘れてよ
外はみぞれの… 外はみぞれの…
冬のれん
男が手酌で しんみり飲めば
心がなおさら 沈みこむ
わたしに一杯 注がせてよ-
聞けばおんなじ 北国育ち
初めてみたいな 気がしない
港はずれの… 港はずれの…
冬のれん
凍(しば)れた夜更けは お客も来ない
硝子戸ひゅるひゅる 鳴るばかり
今夜はゆっくり して行って-
郷里(くに)のはなしに ほころぶ笑顔
夢ならそのうち 叶うわよ
春は間近の… 春は間近の…
冬のれん
6.恋路ヶ浜暮色
作詞:仁井谷俊也
作曲:弦哲也
海鳴りが 空で哭く
波が素足に 戯れる
愛する男と 別れたら
女のこころは 脱け殻です
※恋路ヶ浜の 風よ夕陽よ
明日から私は どうしたらいいの…
砂浜に 崩れ落ちそな今は-
寄り添ってささえる 道づれが欲しい※
足許の 忘れ貝
耳にあてれば あの声が…
想い出さえも 捨てたなら
躰もいのちも 寒すぎます
伊良湖岬を渡る 二羽のカモメよ
おまえは倖せ 失くしたら駄目よ…
心細さ身にしむ今は-
あたたかい誰かの ぬくもりが欲しい
(※くり返し)
7.忘れ蛍
8.うちの人
作詞:仁井谷俊也
作曲:弦哲也
極楽とんぼと 世間は云うが
惚れて一緒に なったひと
世渡り下手な男(ひと)やから
出世にゃ縁は 遠いけど
うちの人… うちの人…
あせらずぼちぼち 行きまひょか
あんたにゃ私(あたし)が ついてます
ひとつの苦労を ふたりで分ける
それが女房と いうもんや
苦しい時は この笑顔
背中を押すわ ささえます
うちの人… うちの人…
はんぶん子供で 甘えん坊
あんたにゃ私が ついてます
人情浪花の 八百八橋
今日もしあわせ 遠まわり
通天閣に 負けんよな
大きな夢を 咲かせてや
うちの人… うちの人…
あんじょう気張って 行きまひょか
あんたにゃ私が ついてます
9.蝉時雨
10.なでしこ舞華
11.娘馬子唄
作詞:大石まどか
作曲:西つよし
いつでも湯舟に浮かんでた
笑い声と父の馬子唄
百のかわりに唄ってくれた
優しい声が懐かしい
お父さん お父さん
お酒は少しひかえめにしてね
あなたの歌声が
今でも私の心です
うしろ向くから 未練がのこる
のこりゃ涙が 先にたつ
黄色い毛糸で編んでたね
せがむ私に ぼっこ手袋
母のぬくもり ひざの上
夢中で見てた 魔法の手
お母さん お母さん
心配ばかりかけてごめんね
あなたの微笑みが
私の大きな支えです
お父さん お母さん
雪の街から見守っていてね
ありがと ありがとう
私はあなたの娘です
12.深い川
作詞:土田有紀
作曲:弦哲也
ひとりでは ひとりでは
生きて行けない 死ねもせず
追えば溺れる 木の葉舟
情に棹さし 流されて
浮かぶ瀬もない 深い川
髪をなで 髪をなで
俺を捨てろと 詫びたひと
岸の柳が 身をもんで
未練ごころに からみつく
夢も住めない 深い川
明日から 明日から
あなた他人に なれますか
けじめすんでる はずなのに
おんな命は くるおしく
渡りきれない 深い川
13.戻り傘
14.浮世の花
作詞:土田有紀
作曲:弦哲也
灯りともれば はなやぐ路地の
義理も人情も 恋には勝てぬ
あなたやさしい 惚れさせ上手
忘れさせるの 下手なひと
紅が紅が哀しい 左褄
逢えばはしゃいで 別れにぐずり
泣くもじれるも ふさぐも飲むも
うわさ信じて うらんでみても
もどる笑顔は あなただけ
ほれてほれてしまえば 女です
すねて障子を 背中でしめて
帰すときまで 私のあなた
ないて身をひき 爪弾く小唄
切ると言う字は 習やせぬ
意地も意地も哀しい 左褄
15.情なし海峡
作詞:土田有紀
作曲:弦哲也
雨の桟ばし 消えゆく背中
はだしで駆けだし 呼びとめて
泣いてすがれば よかったかしら
爪の先まで 燃えてるものを
ああ船は出て行く 情なし海峡
カモメお前の つばさが欲しい
あの船おいかけ 飛んで行く
他のどなたの やさしさよりも
惚れたおとこの 無理さえいとし
ああ呼んで届かぬ 情なし海峡
夜の静寂(しじま)に 波音だけが
逢いたいにくいと せめぎ合う
たとえさだめに 負けても私
きっと死ぬまで あなたの女
ああ未練ひきずる 情なし海峡
16.紅いろ椿
作詞:土田有紀
作曲:弦哲也
蝶の亡きがら 憂しく包み
雨にふるえる 紅いろ椿
生きる別れる どちらもつらい
おんな何なく 恋に泣く
伊豆の坂みち ひとり旅…
息をひそめて 抱かれて燃えて
固く結んだ 手猫きの帯は
あなた無ければ 崩れてしまう
旅に捨てたい 恋なのに
嘘に逢いたい すがりたい…
しのび泣くよな せゝらぎの宿
凛と咲いてる 紅いろ椿
きしむ鞐(コハゼ)の 足袋はきかえて
障子あければ 雨上り
ぬれて色増す 天城やま…
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